鼻笛の歴史

こちらのページでは現状わかっている範囲での鼻笛の歴史を書いていきたいと思います。
確認しきれない点等も多く、話半分でご覧になってみて下さい。
わかったことについては適宜追加していきたいと思います。

世界の鼻笛の歴史

サンバ鼻笛

ルーツとしては現在、ほぼ2つの説がありますが、一つはブラジルのネイティブに伝わる笛ということです。

ブラジル旅行に行った友人によると屋台でも鼻笛を売っていたそうですが、売っていた兄ちゃんのいうことでは
楽器ではなくて鳥の鳴き声のまねなんかをして神様との交信に使っていた器具だって事だそうです。
他の楽器も売っていたそうですが、鼻笛は楽器扱いではなかったそうです。




一つのルートはブラジルからドイツに渡り、こんな形の笛になっています。
このドイツルートには途中アメリカを経由しているとの説が最近出ていますが、
まだ確認ができていません。

ドイツプラ鼻笛

このタイプの鼻笛が2011/9月日本鼻笛協会世田谷友の会@カフェ下ノ谷に入荷したとの情報があり
吹かせてもらいに行って来ました。
非常に低音が良く響く構造でしたがその分高音は出しづらく、アメリカのものと良し悪しの評価は 分かれるかと思われました。

こんな木製の物もドイツで作られているようです。

ドイツ木製鼻笛

ドイツ木製鼻笛

後述の創作楽器で有名な多田広巳さんの作られていたのはこのタイプのようです。

ドイツ木製鼻笛

現在ベトナム製と入って売られている物(サムオイって名が付いてます)はこの形に近いので
ドイツから外注で作らせた可能性が高いです。『民族楽器をつくる』の著者 関根 秀樹さんも
ベトナムのものはドイツからの外注説を唱えていらっしゃいました。

ドイツ木製鼻笛

ドイツでは上記のプラスチックの物とほぼ同じ形の真鍮(シンチュウ)製の物もあるとのことで、 パブで吹いてるおじさんがいるそうなので一度会ってみたいです。




もう一つのルートは同じくブラジルの物、あるいはカナダネイティブの鼻笛がアメリカに渡って、 現在世界でも一番流通しているトイ・ノーズフルートとして売られている物です。

プラ トイノーズフルート

後述しますが、埼玉の陶芸家佐々木さんがアメリカで出会って、現在の陶製鼻笛の元となったのは このタイプのトイ・ノーズフルートです。

2010/4月頃判明したのですが、1960年頃はブリキ製のトイ・ノーズフルートが日本で作られていたそうです。
humanatoneという名前でほぼ全数アメリカに輸出されていたようで、日本ではほとんど知られることが 有りませんでした。

humanatone

made in japanの文字が右下に見えます。

humanatone

『民族楽器をつくる』の著者 関根 秀樹さんからの情報によると
今のところ確実な文献や証拠はありませんが、
1892年にアメリカのジェームス・J・スタイバーという人がブラジル型鼻笛の構造を
まねてか独自にかは不明ですが、同じ構造の笛をブリキで作り、特許を取りました。
笛の名前はHUMANATONE。ブリキを曲げ、リベットでつないだもので、
最初は軍服のようなモスグリーンに塗装してい たようですが、スズメッキもあ りました。
さらに数年改良を重ね、1904年8月にはニューヨークに製造販売のための
HUMANATONE社を設立。玩具楽器としてそれなりに売れていたようです。

1950年代〜60年代、当時人件費がとても安かった日本に発注して大量生産・販売
したのもブリキにスズメッキのHUMANOTONEです。
その後、この日本製をもとにアメリカやドイツでプラスチック製が作られます。
とのことでした。




この他に世界ではベトナムあるいはバリ島あたりで売られている物がありますが、こちらはドイツからの外注品が 元になっている可能性が高いです。

日本ではベトナムから輸入して販売されている方がかなり多くなってきました。

ベトナム鼻笛


このタイプは鼻息を吹き込む穴が小さな丸であることが特長です。実は鼻笛で高音を出す場合、
鼻と吹き口を密着させないと上手く出ないのですが、このタイプは鼻が当たる部分の周りが半円(円筒状)になっていて
その端がほほ骨に当たるので、鼻が密着できず、高音が出しづらいという欠点があります。
自分の顔の形状に合わせて密着できるように削ると出しやすくなる可能性高いです。

私の顔の形状の場合、高音はかなり出しづらいのですが、ほほ骨の低い方は結構出しやすい方も いらっしゃるようです。
そんなわけでお勧めできないとの書き込みをしていたのですが、人によっては出しやすいようですので、 自説引っ込めます。
ただ、精度が悪く音が良く出ないものも混じっていますので、購入はちゃんとセレクトして
販売されているところからお求めになるようお勧めします。




2012/1月 日本鼻笛協会世田谷友の会へお邪魔したときオーストリアからの輸入タイプを 見せていただきました。
少し小さめですが、鳴りも良くデザイン的にも優れていると感じられました。

オーストリアの鼻笛




2012/1月、今度は尺八奏者で鼻笛教室にもいらしている竹内さんから
南アフリカで新タイプの鼻笛が開発されたとの連絡いただきました。
各音域での音量もかなりとのこと。鼻笛ポッポコピーのバンブーさんによると
高音の出は今一とのことですが早く試してみたいものです。

南アフリカ




日本の鼻笛の歴史

日本で鼻笛が作られたのは、埼玉県飯能市吾野にある久須美陶房のご主人である佐々木さんの陶器製の物が 最初である可能性が高いです。

1980年代後半、佐々木さんがアメリカに行ったときにプラスチック製のトイ・ノーズ・フルートに出会い、
これを陶器で作ったらきっと良い音がするに違いないと思って作られたそうです。(本人談)

陶製鼻笛

こちらとはまた別に、茨城県で「オカリナアート JOY」を経営している野口喜広さんと言う方が 1990年代からハナリナという名前で陶製の鼻笛を出されています。
こちらも『民族楽器をつくる』の著者 関根 秀樹さんからの情報によると
野口喜広さんが佐々木さんに許可を得てから製作されたとのことです。

ハナリナ

野口さんも基本はオカリナの方ですし、ハナリナに関しては口コミ以外では広げていらっしゃらず、
佐々木さんも陶芸家であり鼻笛を大々的に広めるということは行われずに、時が経ちました。

お二人以外には創作楽器で有名な多田広巳さん(故人)も何個か作られたようですし、
中津川市落合の栗くり工房というところでも数年前からおもしろ鼻笛を作っているようです。
栗くり工房のものはベトナムの鼻笛と構造は同じように見えます。

最近鼻笛の製作活動を行っているのは佐々木さんのご近所の大工さん(木工の専門家)が、 竹とんぼの会を母体に広めた”鼻笛ポッポコピー”と言う団体に所属するメンバーです。
木工あるいは竹細工の腕を生かし、木製、竹製から果てはトランプ、牛乳パックまで 様々な素材を使っての鼻笛製作を行っています。

材質もそうですが、作り方やデザインにもいろいろ工夫を凝らし、面白い笛を沢山作られています。

2010/5月現在、私が知る限りではこの鼻笛ポッポコピー所属メンバーの作る鼻笛が 一番吹きやすいのではないかと思っています。

2011年に入ると日本鼻笛協会伊勢友の会も立ち上がりこちらの吹く(副)会長の作による
鼻笛もかなり出回るようになって来ました。
こちらも改良を加え続けているので、すばらしい笛になっていきそうです。

埼玉ではネックレスタイプの陶器製鼻笛を製作される若い作家さんも登場し 鼻笛製作もだんだんと広がってきています。




私と鼻笛との出会い

2008/4月、私モスリンが久須美陶房にお皿を求めに入ったとき、佐々木さんが鼻笛を見せて ”これなんだか知ってる?”と問いかけられました。
”え、何ですかそれ?”って聞き返すと 実は笛なんだよって吹いてくれました。

手渡されたので、試してみるとすぐ演奏できました。
佐々木さんからはすぐ吹けた人は初めてだから、それあげるよっていわれていただいて帰りました。

帰って、いろいろ試しているとこいつが凄い楽器だって事がわかりました。正に運命的出会いです。
この楽器がこのまま埋もれちゃったら、もったいないって感じここからライブ等での宣伝活動を 開始しました。
youtube等でも積極的に宣伝を掛けました。

1年ほど過ぎると少しずつ鼻笛を演奏する方達も現れ、演奏家の裾野も広まってきました。
2009年春には’誰も知らない泣ける歌’(NTV)
 ’シャキーン’(NHK教育)
 ’ぶらり途中下車の旅’(NYV)等でも
紹介され、少しずつ認知度が高まってきました。

2010年に入ると
1/25 読売新聞(夕刊)掲載、
1/26 ”朝ズバ”(TBS)、
2/9 読売オンライン動画サイト掲載
3/21 ”大阪ほんわかテレビ”(大阪読売テレビ)(近畿圏のみ)、
4/09 ”こんにちはいっと6けん”(NHK総合)(関東圏のみ)
4/12  ”はなまるマーケット”(TBS) (生出演)(全国放送)、
4/20 ”お元気ですか 日本列島”(NHK総合)(全国放送)
5/11 ”大阪ほんわかテレビ”(大阪読売テレビ)(近畿圏のみ)(再放送)、
5/16 読売新聞 (埼玉日曜版記者コラム)掲載と
立て続けに新聞、テレビ等で紹介されたことにより、一気に鼻笛の認知度は上がってきています。

さらに現在、USTREAM界でも活躍中であるAyanoさんが毎日のようにUSTREAMの中で鼻笛を披露していることもあり
インターネットを経由しての鼻笛の広がりもかなりの物になってきています。

2011年12月には日本鼻笛協会伊勢友の会主催により、三重県津市の四天王寺にて
鼻笛演奏家50人による鼻笛大工演奏会が開かれました。
モスリンも参加させていただき、楽しく演奏させていただきました。

この模様は三重テレビ収録にて欽ちゃんのニッポン元気化計画という番組で2月末に放映予定です。

現在、鼻笛の活動をされている団体としては鼻笛の製作と普及を中心に活動している ”全日本鼻笛ポッポコピー”と
三軒茶屋を中心に普及活動を行っている”日本鼻笛協会世田谷友の会”が 目立ちますが、
他にも少しずつ、鼻笛普及活動をしている方達も現れてきているようです。